大晦日、イリーナはトランピングから帰ってこなかった。
12月28日以降イリーナのFacebookは更新がなく、1月12日には捜索が打ち切られた。
最後のコメントは「in Wanaka and feeling great」。うちの娘と同い年の娘さんは、パートナーだったアリエックが引き取ったそうだ。
夫のネット仲間だったイリーナとアリエックに会ったのは、Pihaだった。キャンプでNZ中を周り、最後にオークランドに着いた時、イリーナに電話すると「私は今からPihaの近くに行く。素敵なところだよ」と教えてくれた。オークランドから少し距離があったし、日は暮れかけていたのだが、なんとなくいい予感がしてPihaまで車を飛ばした。最高の場所だった。
翌日以降もっと北まで足を伸ばしたいと言う夫にお願いして、最後の数日間はPihaのキャンプ場で過ごすことにした。混んでいる時は混んでいるらしいが、我々の行った時は人も少なく、のんびりしていた。
夜、イリーナ一家が訪ねてきてくれた。何もなかったが、キャンプ食でもてなし、夜遅くまでロシア語と英語で会話が弾んだ。
イリーナは朝鮮系ソ連人だったので、顔つきはまるで私と変わらない。年齢も1歳しか違わなかったし、何より彼女の考え方に共感できた。突っ込んだ話をもっとしたい、と思わせる人だった。NZへの移住が決まり、イリーナとの再会がとても楽しみだった。
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